相続放棄ができないケースと対処法について解説
相続放棄は、特定の条件を満たさないと認められない場合があります。
この記事では、相続放棄ができないケースと対処法について詳しく解説します。
相続放棄とは
被相続人が亡くなったときに、被相続人の遺産を相続できる人が、家庭裁判所に申し立てて相続できる権利をすべて放棄することです。
遺産には、現金や預貯金、不動産などのプラス財産だけでなく、借金のようなマイナス財産も含まれています。
そのため、状況によってはプラス財産よりもマイナス財産の方が多ければ、相続しても借金を支払うことになるので相続放棄を検討する方がいらっしゃいます。
相続放棄ができないケース
以下のような場合は、相続放棄することはできません。
- 熟慮期間を過ぎた場合
- 単純承認が成立した場合
- 真意によらない申立て
熟慮期間を過ぎた場合
相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければなりません。
この3カ月の期間を「熟慮期間」と言い、期間を過ぎると、原則として相続放棄できなくなるので注意してください。
単純承認が成立した場合
単純承認とは、被相続人のプラス財産とマイナス財産の双方をすべて相続することです。
遺産の一部を処分したり、債務を返済したりすると単純承認が成立し、こちらも原則として相続放棄はできなくなります。
たとえば、遺産の一部であった不動産を勝手に売却してしまうと、その時点で単純承認が成立し、相続放棄は認めてもらえません。
ただし、被相続人の遺産を保存もしくは民法第602条に定める期間内で賃貸する場合は単純承認とみなされない可能性があります。
相続放棄できない場合の対処法
期限内に相続放棄できない場合は、以下の方法があります。
- 熟慮期間の延長
- 限定承認
熟慮期間の延長
相続放棄は、申述期限である3ヶ月が経過する前であれば、裁判所に申し立てることで熟慮期間の延長が認められます。
ただし、どこまで延長するかは裁判官の裁量にかかっているため、必ず指定された期限内にどうすべきかを判断してください。
即時抗告を行う
即時抗告とは、家庭裁判所の決定内容に不服がある場合に申し立てを行い、高等裁判所に審理してもらう手続きです。
即時抗告を行う際は、家庭裁判所が相続放棄の申し立てを却下してから2週間以内です。
また、即時抗告の手続きは自分でもできますが、期限内に抗告状や即時抗告の理由を証明する書類などを揃える必要があります。
そのため、即時抗告した方が良いのか判断できない場合は、司法書士に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、相続放棄ができないケースと対処法について解説しました。
相続放棄ができないケースには、熟慮期間の経過、単純承認の成立、真意によらない申立てなどがあります。
具体的な対処法としては、熟慮期間の延長や限定承認が有効です。
相続放棄で失敗しないためには、相続財産の調査と早めの手続きが何よりも重要です。
少しでも不安に感じる方は、司法書士に相談することをおすすめします。
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